2005年03月07日
■春が来た
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昼食を終えて気分転換に随心院まで歩いた。

久々の梅日和で顔一ぱいに浴びる陽光が眩しいくらいである。

とは言へ風はまだまだ冷たく、外を歩くと気が引き締まり身体がシャンとしてくるので嬉しい。

この寺には「人に危害を加へないミツ蜂の巣」があって、春を告げるミツ蜂が今年もようやく飛び始めた。

境内にある「小野梅園」には紅梅、白梅の美しい花がチラホラと咲き初め、カメラ片手のお年寄り、若いカップル、老夫婦、赤ちゃん連れの家族、などがのんびりと散策している。

途中に緋毛繊の茶席も設らへてあり、梅の香りとともに高貴な雰囲気が漂っている。

それにしても梅の花を愛でる時、息をひそめて覗き込むやうに見てしまふのは何故だろう?

そんな事を考へながら、ここち良い緊張感を少し残して家路についた。


  春がきた 桜はまだかと 梅が問ふ



2005年03月14日
■天龍寺にて
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京都、嵐山に後醍醐天皇の菩提を弔うために創建された大本山・天龍寺がある。

この寺は京都五山第一位の寺格を誇り、広大な境内はいつも隅々まで手入れが行き届き寺全体に快い緊張感が漂っている。

広い天龍寺には世界中から様々な人が訪れて都の賑わいを見せているが、行き交う人が互いに節度を守り行動するので気持ちが良い。

夢窓国師が作庭した美しい庭を中程まで巡ってくると多宝殿の前庭、左に紅梅、右に白梅の花が今が見頃となって咲いている。

これぞ天龍寺の梅ですよ〜と言わんばかりに品良く咲いている。

しかも左右のバランスが完璧な程に保たれていて感心する。


  天龍寺 一枝乱れぬ 紅白梅


そして…
バランスと緊張感でこれ以上ないと言ふ代物が、この寺にもう一つある。

天龍寺・七堂伽藍の一つ、「法堂」の天井には直径9mの円相いっぱいに躍動感と迫力満点の龍が描かれている。

現代水墨画の巨匠・加山又造画伯の渾身の力作、
『八方睨みの龍』である。

 (絶対! これはすごいですよ。筆舌に尽くせまへん…)



2005年03月21日
■祇園小唄
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♪月はおぼろに 東山
  かすむ夜ごとの かゞり火に
  夢もいざよふ 紅さくら
  しのぶ想いを 振り袖に
  祇園恋ひしや だらりの帯よ

祇園甲部歌舞練場の前に大勢の人垣ができている。

舞妓を乗せた五台の人力車が出発寸前となりカメラの放列を浴びていた。

携帯で写している人もいる。

舞妓も愛相を振りまき和気合いあいとしたひと時である。

石畳を敷き詰めた花見小路は見ている間に沢山の人で埋め尽くされた。

華やかな舞妓を乗せた人力車での行列は一時間をかけてゆっくり、ゆっくりと円山公園へと向かふのである。

今、京都では桜の開花を前にして夜の祇園界隈、東山山麓の散策路約4.6kmに花灯路が連なり、はんなりとした灯りで京都の春の詩情を醸し出している。


  春の宵 舞妓を運ぶ 人力車



2005年03月28日
■夢かうつゝか幻か…
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沈丁花は昔から春の到来をいち早く告げる花として有名だ。

折り紙で作った小さな楠玉のやうに可愛い花である。

その沈丁花が庭の片隅に満開となって咲いている。

3月27日は随心院で「はねず踊り」の祭りがあり沢山の観光客で賑っている。

この辺り一帯に華やかな雰囲気が漂い、気分が浮きウキしてくる。

そして我が家にも遙かメキシコの国から素敵な笑顔の母娘3人連れが訪ねて下さった。

横浜でホームステイの経験を持つ高校一年の娘さんは結構上手な日本語で通訳をしてくれた。

お母さんは去年、メキシコでの個展の時に大変お世話になった方であり、今回も春休みの旅行を兼ねて遠路はるばる私の絵を見に来て下さったのである。

満開の沈丁花の見えるこの部屋でスペイン語の入り混ざる不思議な春の一時を過ごした。

私は今まで考えても見なかった『すごい時代が来たもんだ…』
と感じていた。


  佳き春を 告げて微笑む 沈丁花

        〈感謝〉



2005年04月04日
■困った話
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『人間は感情を持つ動物である。』とは、殆どの人が耳にしたことのある名言ではないだろうか。

私も随分昔に学校で覚えた記憶があり、今まで何回となく口にしてきた言葉である。

又、『人間は唯一言葉を喋れる動物』とも言われ、怒る、笑ふ、泣く、悲しむ、喜ぶ…など心で感じたことを言葉に出して対話をしながら混迷の世の中を生きてゆくのである。

対話こそ文明人の為しうる知恵であり、人と人、国と国とを結ぶことの出来る崇高なる芸術だと思へてならない。

辛くて苦しい話を聞かされた時には同苦し、嬉しい話を聞いた時には自他共に喜べるやうな、そんな爽やかな気持ちの良い対話ができたらどんなに幸せだろう…と常々考へている。

しかしながら中々満足のいく対話ができないのが実情であり、今でも時々困ってしまうことがある。

今日も近所の御婦人と世間話で始まり、互いの体調の話へと発展し少し長い立ち話となった。

相手が御婦人と言ふこともあり、私は少し緊張していたせいか、病気治療の際の苦しくて辛い体験談をされている時に、何故か私の腹の底から笑いが込み上げてきたのである。

ウッヒッヒ〜、ウッヒッヒ〜と絶対にあってはならない失礼なことと思ひ、こらえようとすればする程笑いが爆発しそうになった。

御婦人は「それもご病気ですか〜?」
と心配さうに尋ねられ、一緒に笑って下さった。

私は必死で笑いをこらえながら「病気ではないと思うんですが〜こんな事が時々あるんです〜」と答えるのがやっとだった。

この事を妻に話すと「そんなもん病気以外に何物でもないやん」と言われ、私は「医者に行かずに必ず自分で治してみせるぞ!」と決意した。



2005年04月11日
■二条城にて
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桜が咲いた、春が来た。

桜は本当にせわしない花だ。

急に思いつき友人と二人で二条城の桜を見に行った。

城の入り口は外人の団体など沢山の観光客でごった返し入場券を買ふのに一苦労だった。

二条城は1603年に徳川家康が築城したもので平成6年に世界文化遺産に登録された。

国宝の二の丸御殿の前では日本建築の美しさに見とれ茫然と立ち尽くす外人もいる。

私は美しい二条城と満開の桜の中にいて、まるで御伽話の世界にいるやうな気分になった。

今が盛りの桜の木の周りでは大きな歓声が上がり、記念写真を撮る人で大騒ぎである。

本丸御殿の西側まで来ると休憩所がありここのベンチに二人で腰を下ろした。

目の前には薄紅色のシダレ桜が満開で松の深緑との見事な色のコントラストを醸し出している。

私たちはしばらく花を見る人の様子を眺めていた。

広い二条城には沢山の桜が咲いており、結構足早に人が動いていて驚いた。

満開に咲いた桜を見ていると今にも散りさうな…誠にせわしない花である。


  わび助の 侘びしく残る 二条城


多くの人の脚光を浴び栄華を極める桜の花のすぐ傍にひっそりと咲く小さなヤブ椿が私には見えた。   …ひっそりと



2005年04月18日
■衛生掃除
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桜の花の大騒ぎも終わり、ここ4〜5日は初夏の陽気で少し汗ばむくらいだ。

妻は留守で少し退屈な午後のひと時、あまり天気が良いので一人で何気なく畳をめくってみた。

こんな事をするのは何年ぶりか…の事であり、畳がこんなに重たいモノだと改めて知りびっくりした。

痛い手を我慢しながら、やっとの思いで庭に運び出し2枚の畳を山形に立てて干した。

こうして畳に爽やかな風を通していると、溜まりに溜まったわが家の邪気が追い払われていくやうな気分になり、身も心もリフレッシュしてくる。

そして私の子供のころ、家族総出でやっていた昔の衛生掃除を懐かしく思い出した。

床下に白い粉のDDTを撒いて消毒をする父の姿、外に出した水屋を拭いたり、食器を外に並べて干す母の姿など…。

今は亡き元気な頃の親の面影が、つい先日のことのやうに思い浮かぶ…。

あっちこっちの家からはパンパンパンパンと畳を叩く音が聞こへ新緑の山にこだましていた。

…その昔、衛生掃除は初夏の風物詩だった。


   これがまぁ 終の住処か 畳干す



2005年04月25日
■山笑ふ
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暖かい春の陽射しを一杯に浴びる家庭菜園では夏野菜の植え付けがピークとなり、あちこちで野菜談義が盛り上がり楽しい笑い声が聞こへてくる。

この時期、畑仕事をしているとモグラの穴に出くわしたり、元気なミミズの姿をよく見かける。

先日もスコップで土を堀り起こしていたら冬眠中の殿様ガエルを堀り出してしまいびっくり仰天した。

大きな殿様ガエルも驚いて、一瞬、目を開けたかと思ふと「無茶なことせんといてえな」と言ふ顔をして又、すぐ目を閉じて寒そうだった。

可哀想なので畑の片隅に穴を堀り、枯れ葉を入れて温かい寝床を作ってやり、ここに寝てもらふ事にした。

カエルと言えども殿様には違いないので粗相のないやうに…と思った。

それにしてもカエルに怪我がなくて本当に良かった…と胸を撫で下ろした。

この畑で冬を越した菜の花や、えんどう、いちご、などにも沢山の花が咲き、白や黄色の蝶がひらひらと舞い始めた。

そして目の前の醍醐山もすっかり新緑の季節となり、畑の中での様々な出来事を見おろしてエヘラ・エヘラ‥と笑っているかのやうに私には見えた。


  夏野菜 植へてスッキリ 醍醐山