2006年01月04日
■京都の正月
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新京極は京都で一番賑やかで楽しい繁華街である。

昔はこゝに映画館や花月劇場、銭湯(さくら湯)、アルサロや鯉の釣り堀り、うなぎの掴み捕りやスマートボール…など面白い店が沢山あって夜になるとよく遊びに来たものである。

お腹が空くと中華料理の「大極殿」に入りラーメンを食べたことを懐かしく思い出す。

そんな事を考えながら何十年ぶりかの正月の新京極を訪ねた。

新京極通りは相変わらず沢山の人で道から溢れんばかりの大混雑となっている。

しかもその99%が10代〜20代の若者で、「こりゃ〜えらい所へ来たもんだ」と一瞬たじろいだが、明るくてカラフルなファッションに圧倒されそうになりながらも結構楽しく四条まで通り抜けた。

広い四条通りに出ると今度は祇園界隈への初詣客で両側の歩道が多くの人で埋め尽くされていた。

東洋系、西洋系…など様々な外国人も入り混ざり平和日本を代表する国際観光都市「京都」の人気の高さを実感した。

とにかくすごい人出で人の波に押し流されるやうにして高島屋へ辿り着いた。

高島屋では一保堂の抹茶『初昔』を買った。

何もためらう事もなく大勢の人に押されてこゝへ来て『初昔』と言う、誠に故のありさうな良い名前に巡り遭へて不思議な感動を覚へた。

私は『初昔』をしっかりと抱きしめて、賑やかで華やいだ京都の正月を満喫してルンルン気分で家路についた。


 日々新た 元初の誓い 果さんと
        三世の道を 今日も今日もと



2006年01月11日
■平安の道
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京都市美術館で開催中の「日展」を観に出かけた。

地下鉄・東山駅で降りて、三条から神宮道を歩き美術館へと向かった。

神宮道の沿道には広い歩道があって瀟洒な店が建ち並び、中を覗くだけでも楽しく朝から気分は絶好調になってきた。

そして私は、
♪この道はいつか来たみち〜 あ〜ぁそうだよ〜う…と、
ほとんど無意識でこの歌を口ずさんでいた。
 
人は誰でも長い人生を過ごしていると知らず知らずのうちに身体に染みついた歌があるもので、その場所に行くと心の奥の方が感応して、つい口ずさんでしまふものだと思ふ。

この辺りには京都会館、動物園などが目の前にあり神宮道は多くの老若男女が胸を躍動させて歩く道である。

私にとっても、この道は楽しい思い出のいっぱい詰まった「平安の道」なのである。

それでもたまに
♪おいら〜にゃ〜無いのか青春が〜  あれほ〜ど好きだと言ったのに〜…とか言ふ、守屋ひろしの唄を口ずさむ事があるのも事実どす。



2006年01月18日
■金閣寺にて
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今年の初吟行は、いつもの俳句仲間8人(芦屋在住5人、京都在住3人)で金閣寺を訪ねた。

世界文化遺産の一つとして有名な金閣寺は京都でもトップクラスの観光地で一年中多くの人で賑わう所である。

まだ少しだけ正月気分が残り、華やいだ雰囲気の漂う広い林泉(庭園)をゆっくりと歩いた。

若いカップル、家族連れ、老夫婦、など様々な人がゆったりと散策している。

携帯電話で写真を写すご婦人も増えてきた。

時々子供の元気な歓声が林泉にこだまして心地よく聞こえてくる。

「京都は心の癒される所ですねぇ」と芦屋のメンバーがしみじみと言っていた。

「そうですか、嬉しいこと言うてくれはりますなぁ」などと喋りながら鏡湖池まで来ると、冬の陽射しを受けて金閣寺が眩いばかりに映っていた。

明るくて賑やかな外国人の団体も美しい金閣寺を目の前にして静かに立ち尽くし溜め息をついていたのが印象的だった。

世界文化遺産にふさわしい金閣寺はさすがだと思った。


  冬の瀧 昇りし石の 鯉となり


  林泉に 冬の手入れや 5、6人



2006年01月25日
■図書館にて
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真新しい10枚の襖に水墨画を描く仕事が入り、小雪がチラつく中、京都市醍醐中央図書館まで参考資料を捜しに出かけた。

広くて明るい図書館に入ると、そこはもう春のやうに暖かく極楽浄土のやうな雰囲気が漂っていた。

幼児コーナーで絵本を探す母子連れ、ビデオ・映像コーナーではイヤホーンを付けた老人がソファーに腰を下ろし懐かしい映画を鑑賞していたり、沢山の本を抱えて貸出し窓口に並ぶ小学生、机で本を読む人、パソコンでお目当ての本を検索する中年男性…など、実に様々な年齢層の人がここには来ている。

しかし、こんなに多勢の人がいて静かで居心地が良いのは何故だろうか?

そんな事を考えながら美術コーナーに並ぶ本を次から次へと見ていった。

新築の8畳の間に立ち並ぶ襖と、そこで暮らすご家族の姿を想い浮かべて絵の構想を練っていった。

う〜ん…、中々これという参考がない、う〜ん、粘ること2時間。

そうだ!今まで誰も見た事もないやうな粋な水墨画を描こう!
と私の心の奥の方からもの凄いファイトが沸いてきて、寒さに負けずここへ来てよかった、と思った。


  大寒も 夢の如くに 過ぐしおり



2006年02月01日
■大阪・天保山にて
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大阪のレジャースポット「天保山ハーバービレッジ」では海遊館開業15周年を記念して多彩なイベントが催されている。

水中で泳ぐ鮫に触ったり、珍しいペンギンのパレードも見られペンギンと一緒に記念撮影をする子供達は大喜びである。

この海遊館と天を突くやうに高い大観覧車の間に建つ、天保山マーケットプレースには多種多様の店が入っている。

正面から中へ入ると「なにわ食いしんぼ横丁」があり昔の浪花の町が再現されていてラーメンとか、たこ焼き、肉まんなどを食べる客で大繁盛で「儲かりまっか〜」「ヘィぼちぼちでんなぁアハハ…」と、こんな会話が聞こえてきさうな庶民の町「浪花」の雰囲気が漂っていた。

二階には軽快な音楽も流れ心のうきうきするやうなイベント広場もあり、小さな子供の手をひく親子連れや若いカップルが楽しさうに行き交っている。

多勢の人で賑い活気に溢れる館内の三階中央には、ゆったりとしたスペースの「天保山ギャラリー」がある。

私にとっては大変嬉しいことにこのギャラリーの新春特別企画として1月14日から29日まで羽尻昭山人が描く「源氏物語 絵画展」とタイトルを掲げ私の源氏絵を展示して下さった。

ぽかぽか陽気に恵まれた最終日には私もここを訪ね、ご来場の方とお話をしたりサインをして差し上げたりしながら楽しく過ごさせて頂いた。


  夢ひとつ うつゝになりて 春を待つ



2006年02月08日
■女子大生
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4〜5日前、私の友人、Yさんの奥さんから電話があった。

今、Yさん宅に家庭教師で来ている女子大生は大学3回生で、源氏物語に非常に興味があり中学校の教員を目指す女性だと言ふ。

「源氏絵を描く画家がこの近所にいると言うと、『ぜひ逢ってみたい』と言われるので近々時間を取ってくれませんか?」との電話だった。

この女性の通ふT大学には、時々テレビ出演される程、源氏物語に詳しい教授が居られることが即座に頭をよぎった。

その大学の3回生で教員を目指し、源氏物語を研究する女性から逢って話をしたいとの申し入れである。

「何んと、すげぇ時代がきたもんだ」…と私は思った。

10年程前、一人の画商さんの依頼で源氏絵を描くようになり、妻と二人で図書館通いが始まり源氏物語を読むやうになった。

源氏物語にゆかりの深い京都に住んでいるお蔭で嵐山の野々宮に建つ「黒木の門」に触れてみたり、源氏が病気療養した北山の山桜を見に行ったり、宇治を訪ねて浮き舟を偲んでみたり…と、京都の美しい四季を存分に楽しんでいる。

そして今日、二人の「おばちゃん」にしっかりガードされて、女優の石原さとみによく似た女子大生が我が家に来てくれた。

若い女性の笑い声で華やいだ雰囲気の中、皆で私の描いた源氏絵を見ながら楽しい冬の思い出を刻むことができた。


  立春や 源氏が招く 女子大生



2006年02月15日
■焼酎に想う
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あれほど純米酒にこだわり続けて来た私に心境の変化があって最近では焼酎のお湯割りを楽しんで飲むやうになった。

焼酎と云えば子供の頃、歩いて20分位の酒屋まで親父の使いでよく買いにやらされた事を思い出す。

風呂敷に重たい一升瓶を包んで持って帰るのは子供心に恥ずかしくて嫌で嫌で仕方なかった。

終戦直後でしかも疎開先での食料難の時代だった。

親父は25度の焼酎を熱燗にして「鷹のつめ」を入れて飲んでいた。

今日は久しぶりに古い写真帳を出してきて、セピヤ色で軍服姿の親父の写真を見ながら恐くとも優しかった親父の事を偲んだ。

そんな訳で焼酎の銘柄は宝焼酎ぐらいしか知らなかったが本気で焼酎の売り場を覗くと「よかいち」「かのか」「いいちこ」…など明るくて楽しい銘柄が沢山あって、私が50年間抱き続けていた焼酎のイメージが一変してしまった。

今度は私も焼酎にまっ赤な「鷹のつめ」を入れて飲んでみやうと
考えている。


  春の月 焼酎談議は 父のこと



2006年02月22日
■「力の湯」にて
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昼食を済ませ、京都伏見区のスーパー銭湯「力の湯」へ行った。

底冷えのするこの時期には昼間から風呂へ入り、のんびりと汗を出そうと考えるお年寄りが結構いるものである。

勢いよくお湯の吹き出るジェット風呂、蒸し風呂、電気風呂、サウナ、水風呂、気泡風呂、露天風呂…など、湯気の中をウロウロするだけでも汗が出て心身ともにリラックスしてくる。

かっては企業戦士と呼ばれ、日本経済の高度成長時代に身を粉にして働いた60代、70代の客がほとんどで、
それぞれに深い人生を物語る顔、身体を持ち寄っているのである。

と言う訳で、広い風呂場の所々に置いてある椅子に腰を掛け威厳のあるおじいさんの仕草をじっくりと拝見しているとひとりでに笑けてくるほど面白い。

顔つき、体つき、歩き方を見て、この人は力仕事系、文化系、中小企業の社長タイプ…など、すぐに見分けができる。

洗い場に目をやると、
我を忘れて足のかかとを軽石でこすり続けるおじいさん、
タオルを洗ったり絞ったりして、しきりに頭を拭くおじいさん、
シャワーのヘッドにかぶりつくようにしてうがいをするおじいさん、
立ったままで身体を洗うおじいさん、
石鹸の泡をお尻に付けたままうろつくおじいさん…。

すのこの上では、ここまでリラックスするか〜と思ふ程の格好で寝転ぶおじいさん…。

昼間のスーパー銭湯は裸の人間の集まるこの世の天国だと思った。


  昼下がり 二月の銭湯 うふふふふ