| 2006年03月01日 |
| ■100円玉子 -*-------------------------------------------------*- ぶらり散歩の途中、家の近所のスーパー「マイショップ」に立ち寄った。 入口でカゴを手にして開店早々の店内に入るとチラホラと客が入っており店の人が「いらっしゃいませ」と元気な声を掛けながら忙しさうに動いている。 身も心も清々しくなる朝の風景である。 とうふ、もやし、納豆などを買い、玉子のコーナーまで来るとLL玉子10個190円のパックの上に貼紙がしてあり「これと同じ玉子を100円で入口にてサービス販売しています、お一人様1パックのみです」と書いてあった。 私は一目散で入口まで戻ってみると、まだ沢山残っていて「やった〜」と心で叫びLL玉子のパックを鷲づかみにしてカゴへ入れると何とも言へぬ得をしたやうな気分になった。 もう一度店内に戻ってお目当ての魚コーナーを覗いていてもLL玉子を100円で買ったことが頭にこびりつき満足感を押さへきれずに腹の底から笑いが込み上げてきたのである。 店の人もカゴに入った玉子を見ながら「いらっしゃいませ」と言って笑っていた。 その後、汗が出るほど笑いをこらへてレジを済ませ外へ出ると、LL玉子の安売りの所で4〜5人のお年寄りが嬉しさうな顔をして並んでいた。 ここにも面白い高齢化社会が忍び寄っているな…と肌で感じた。 春一番 スーパーはしごの お年寄り |
| 2006年03月08日 |
| ■私の仕事 -*-------------------------------------------------*- 石川県金沢市の業社から6m×8mの絨毯(じゅうたん)の図案を描く仕事が入ってきた。 「この仕事は会社の命運を懸けて取り組んでいるので成功に向けてぜひ協力してほしい」と担当者の物凄い意気込みである。 私も45年間、染織デザインの仕事を続けてきて、これだけ大きな図案の依頼を受けたのは初めてのことであり、少々戸惑いながらも遠路はるばる我が家を訪ねて下さった熱意に感動して、この仕事をさせて頂くことにした。 先ず最初に悩んだのは6m×8mと云ふ大きな紙をどこに広げて作業するのか、と云ふ初歩的な難題である。 染工場を営む友人にこの話をすると 「広い空き部屋があるのでここを使ったらいいよ」 と言ってくれ私は百人力を得たやうに嬉しかった。 しかし他所の仕事で友人に迷惑をかけるのも心苦しい事だと思ったのと、私にとってめったにない大作なので、こせこせしないで6m×8mの大きな紙をドーンと広げ全体像を見ながらゆったりと創作したいと考え、左京区岡崎「みやこめっせ」内にある日図デザイン博物館の会議室(7m×12m)を借りることにした。 広くて明るく静かなこの空間を独り占めして会社の命運が懸かる大作、二柄を描くことになったのである。 「観世流水」「乱菊と桐」など 縁起の良い図柄を画面いっぱいに描く爽快感…。 何回となくここへ通い充実の日々を過ごした。 特に最後の二日間はおやつ持参で妻も来て二人がかりで頑張り、大仕事が完成した。 今回こんな素敵な体験をさせてくれた金沢の会社に感謝の気持ちでいっぱいである。 |
| 2006年03月15日 |
| ■「源氏物語ミュージアム」にて -*--------------------------------------------------*- ♪春よ来い 早く来い 歩き始めた み〜ちゃんが 赤い鼻緒のじょじょはいて おんもへ出たいと待っている♪♪ 春を待つ人の気持ちはいくつになっても変わらないものである。 寒の戻りで京都地方に小雪が舞ふ中、この歌を口ずさみながら宇治の「源氏物語ミュージアム」を訪ねた。 ガラス張りに設らへた釣り殿を渡り、美しい館内に入ると優艶典雅な源氏物語の世界が広がり一気に平安時代にタイムスリップしたやうな感覚になった。 光源氏が華やかに暮らした六条院を表現する春の部屋へ入ると実物大の牛車がズッシリと展示され32面の大型スクリーンに咲き誇る満開桜がマルチ画像で映し出され、そのド迫力に圧倒されさうになった。 明るいスポットライトを浴びて、源氏が33才の春に催した船楽の場面などを巡り暖かい館内をゆっくりと歩いた。 映像展示室では篠田正浩監督の映画「浮舟」が上映され、大きな宇治川など美しい宇治を舞台に展開する第51帖「浮舟」巻の名場面にしばし酔いしれた。 寒さに負けずにここへ来て紫式部さんの魂に触れることができ、ほんの少しだけ大宮人になった気分で家路についたんどっせ。 宇治に来て 源氏の春を もらひけり |
| 2006年03月22日 |
| ■卒業シーズン -*--------------------------------------------------*- 妻と二人で朝食をとりながらの話題が、ひょんな事から私の高校卒業当時の思ひ出話となった。 日本の戦後経済の復興でようやく白黒テレビが一般家庭に普及し始め、松下幸之助氏が日本一の大金持ちになりプロレスの力道山が大活躍していた時代のことである。 その頃、ちまたでは村田英雄の「王将」が大ヒットしていた。 ♪吹けば飛ぶやうな将棋の駒に 賭けた命を笑わば笑え…と、皆それぞれの進路も決まり真面目に働くど根性さえあれば、何をやっても必ず成功できさうな自信と希望に満ち溢れていた。 卒業目前の学校では互いのサイン帳を交しながら木造校舎の教室で達磨型の薪ストーブを囲み、時の経つのも忘れて将来の夢などを語り合ったものである。 そしてこの歌に後押しされるやうに私たちは新社会人として巣立っていった。 嗚呼、あれから幾春秋過ぎたことだろう…。 朝食が済んでコーヒータイムとなり、今度は懐かしいあの時のサイン帳を出してきて高ぶる気持ちを押さえながら何十年ぶりにページをめくってみた。 「永遠に立脚して 刹那に努力せよ」学校長 「野心と愛は偉大な行動のための二つの翼だ・ゲーテ 三十年後の君の姿を楽しみに待っているよ」岸田 「なせば成る なさねば成らぬ何事も ならぬは人の なさぬなりけり」宮田 「あへばとて語る言葉なけれども あはざれば懐かしい人」智恵 …などと書いてある。 こんな事をしていると遠い昔の恩師の顔、友の顔が鮮明に想い浮かび胸がキュンとしてくる。 年経りて よろしき春を 生きなむと 友の言葉を たどる日々かな と、まぁこんな事どす。 |
| 2006年03月29日 |
| ■春が来た -*-------------------------------------------------*- 2〜3日前から口内炎が出来てうっとうしい気分で過ごしている。 口内炎が出来ると何をしても痛くて、心が晴れない誠に厄介な代物である。 新聞では京都の桜が例年より4日早く開花した、と報道されている。 ♪春よこい 早くこい…と あれほど待ち焦がれた春が到来したと云ふのに、たった二つの口内炎が痛くて春どころではない最悪の状態となってしまった。 そんな訳で今日は粥と梅干しの極シンプルな朝食を済ませ、小野の里を散歩して気を紛らわせることにした。 うっとうしい、うっとうしいと思いながら下を向いて田んぼの畦を歩いていると柔らかくて美しい「蕗のとう」が3本草の中から顔を覗かせていた。 草の中へ手を差し入れて蕗のとうを採ってみると13cm位に伸びていた。 ♪蕗は咲いたか つくしは まだかいな…と 訳の分からない唄を口ずさみながら歩いていると、今度は沢山のつくしが林立している光景に出くわしびっくりした。 わたしは土手に腰を下ろし、つくしを写生しながら静かな春の一時を過ごした。 |
| 2006年04月05日 |
| ■京都御所にて -*--------------------------------------------------*- ここ2〜3日は寒い日が続き、折角開き始めた桜の花もやゝ遅れ気味となってきた。 そんな時、我が家に遠来の客があり、妻の発案で春の京都御苑に案内することになった。 ザクザクザク…と玉砂利を踏みしめながら広い御所の中を歩いていると、手入れの行き届いた松林が随所に見られ静寂で格調高い雰囲気に包まれ、心が清々しくなってくる。 蛤(はまぐり)御門近くの桃林、梅林にはまだ美しい花が沢山残っておりカメラに収める人で賑わっていた。 そして久し振りに沢山歩き、今日のお目当ての御苑の「枝垂れ桜」まで来ると『咲きたてですよ〜』と語りかけるやうに桜の花が咲いており多くの見物客から溜め息が漏れていた。 天候のせいか今年の桜は少し小振りで初々しい感じがする。 京みやげ 先づは御苑の 桜かな その帰り、皆で大丸へ立ち寄り「天ぷら丼」を食べて帰った。 |
| 2006年04月12日 |
| ■醍醐寺にて -*-------------------------------------------------*- 私は楽しい事があるとすぐに浮かれるタイプの人間である。 従って桜の花が咲くこの時期になると落ち着きのない日々が続き何をやっても中途半端になることが多い。 家で仕事をしていても、あっちこっちの美しい桜が頭に浮かび今にも散ってしまふのでは…と考へ、あせってしまふ。 桜と云へば幸いな事にわが家から自転車で5分も走れば太閤さんが花見をしたことで有名な醍醐寺に着く。 今年も早朝より満開の桜を観にここを訪ねた。 真言宗総本山の醍醐寺山門の両側には物凄い恐い形相の仁王像が大きな目玉をむいて睨みつけて立っており、静寂で厳粛な雰囲気が漂ひ、気が引締まる思いがする。 広大な境内には見渡す限りに桜が咲き誇り、古びた木像の仁王像とのバランスが妙にマッチして人気の少ない早朝の醍醐寺はとてもこの世の光景とは思へない程美しい景色どす。 朝ぼらけ 醍醐の桜 独り占め 賑やかな花見もいいですけど、静寂で厳粛な花見もたまにはいいですよ〜。 |